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  • 心療内科 精神科 神経内科の違い

    「ストレス社会」と言われる今日。こころとからだの関連する不調に伴って、慢性疾患やストレス関連疾患が増えています。その要因もウィルスや腫瘍など器質的(生物学的)因子だけでなく、「心理・社会的要因」がからみ、複雑化しています。

    一方で医療は専門化・細分化が進み、「適切な診療科にたどり着くまでが大変」という現実もあります。複雑化した疾患に対応する医療の中で、心身医学を基盤にする 「心療内科」 と 精神科 や 神経内科 との違いについて知っておくと、よりスムーズに受診することができるでしょう。

    心療内科

    心療内科 は主に「心身症」を扱います(「心療内科とは」も参照)。
    心身症は、身体疾患の中で、心身相関<心と身体の関係>の病態(心身相関)が関与したものです。

    「精神疾患」が精神病理をもつ疾患なのに対して、「身体疾患」は、身体の病気のことで、心不全など循環器系疾患、喘息などの呼吸器系疾患、胃潰瘍など消化器系疾患など多岐にわたります。それらいずれの領域においても、心理社会的要因が大きく関与するものが約1/3程度あるとされています。
    簡単に言うと、身体の症状ストレス などの心理社会的因子が関係するものです。このような病態が疑われる場合は 心療内科 が適切です。

    精神科

    精神科は上記の「精神疾患」を専門に扱う科であり、心の症状(精神症状)、心(精神)の病気を扱う専門科です。心の症状とは、不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などのことです。身体疾患が身体の病態を持つのに対して、精神疾患は脳の病態を持つものが多いですが、はっきりと脳の異常が認められない場合や、身体の異常が基盤になる場合もあります。
    原則として心の症状の場合は、軽症であっても精神科が適当です。心療内科は「ミニ精神科」「軽症の精神科」とは異なります。

    脳神経内科

    神経内科(脳神経内科)は脳神経系の疾患を扱います。 「脳や脊髄、神経、筋肉の病気をみる内科」であり、脳血管障害やパーキンソン病、ニューロパチーなどの神経の病気を扱う科です。 この場合の「神経」は、「神経が太い」とか「神経質」という神経ではなく、実際に筋肉などの組織につながり、信号を伝えている実体のある「神経」です。神経の症状は上記の心の症状(精神症状)と違って、手が震える、動かない(麻痺)、歩けない、しゃべられないなど運動障害や、見えない、聞こえないなどの感覚障害による症状です。

    見分け方

    心療内科 と 精神科は混乱があるようです。
    大まかに言えば、「身体」の症状がメインなら内科、中でも神経症状がメインなら脳神経内科、それらの身体症状にストレスなど心理社会的因子が関係していたり、心と身体にまたがる症状の場合は心療内科、「精神(心)」の症状がメインならば精神科が適切です。

    たとえば、お腹が痛いのがメインなら内科(消化器内科)ですが、検査で内科的異常が認められず、仕事のストレスがきっかけになっている、体の不調に抑うつなどの心の不調も伴うなどの場合は心療内科です。一方、気分の落ち込みや不安がメインならば精神科です。紛らわしい場合にはどちらかに相談することで、より適切なところへ紹介されます。

    標榜が 心療内科 でも実際は 精神科 という施設もあります。標榜が「内科・心療内科・…」となっていれば、心療内科医か、内科医で心療内科を学んだ医師が担当すると考えられます。

    「精神科・心療内科・…」などとなっている場合は精神科医が担当と考えられます。 ですから、身体の症状がメインならば前者を受診し、心の症状がメインならば後者を受診すればよいことになります。

    受診の目安をまとめると…

    • 身体の症状がメインだが、検査をしても異常がない、あるいは、経過からストレスなどが関連していると思われる。⇒ 心療内科
    • 不眠や不安、イライラ、抑うつ、幻覚など、心の症状がメインである。⇒ 精神科
    • 身体の動きがおかしい、ふるえる、傾く、力が入らないなど神経の異常が疑われる。⇒ 脳神経内科
    • 身体の症状と心の症状が同じくらいあり、どちらがメインか区別がつかない。⇒ 心療内科、または、内科を受診して器質的な疾患を除外する。
    • 最近ストレスを強く感じることがあり、それ以降身体の調子が悪くなったが、それ以前はそんなことがなかった。⇒ 心療内科

    そのほか、いろんなケースがあり、施設の事情によっても違います。選択に迷うことも多々あるでしょう。 そんなときは、無駄足を運ぶ前に、まずは医療機関に電話で問い合わせをしてみることをお勧めします。

    後記

    心身医学・心療内科 のより本質的なところは、疾患の捉え方やアプローチの仕方にあります。

    心身医学はこころとからだ、そして、その人をとりまく環境等も考慮して、それぞれの要素を分けずに、その関係性(心身相関)も含めて、統合的にみていこうする医学」 (⇒心療内科とは)であり、心と身体の関係性を重視した捉え方やアプローチを行います。 

    「要素を分けてみる視点」西洋医学で重視され、とても重要な見方であり、今日の医学の発展の基盤になっています。しかし、冒頭で述べたように慢性化・複雑化した疾患が増え、その見方だけではうまく治療できず、限界がみえてきたのです。西洋医学に対して東洋医学は、要素を分けるよりも「全体的・統合的な視点」を重視します。日本の心身医学は東洋医学的な視点をベースにしながら、「要素を分けたうえでそれらの関係性を全体的にみる」という東西の視点を融合した見方やアプローチを行います。

    このようなアプローチは内科だけでなく、耳鼻科や整形外科など他の科でも応用できます。その場合は「心療耳鼻科」とか「心療整形外科」となりますが、現在日本の保険診療で標榜が認められているのは 「心療内科」 のみです。心療内科ではこれら他科領域の心身症についても、専門診療科と連携しながら診療を行っています。

    (Kanbara K, Psychosomatic Labo/ LABs Psychosomatic Medicine, https://bodythinking.net/column/distinction/, July 2021)

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  • 心療内科 とは

    心身医学 を実践する診療科= 心療内科 です。

    心療内科 は 心身医学 を実践する診療科です。

    <こころとからだの関係>を「 心身相関 」といいます。

    • 「 心身相関 」を医学領域に適用したもの=「 心身医学 」
    • 「 心身医学 」を主に内科領域に適用した診療科=「 心療内科 」です。

    心療内科では、病気を身体面だけでなく、ストレスなどの心理面や、家族環境などの社会面をも含め、関係性を評価しながら みていきます。

    心療内科 が主な対象とするのは 心身症 です。

    ストレスなどの心理的・社会的因子が関係した疾患 =「 心身症 」です。

    心身症の定義は次のようになっています。

    「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的、ないし機能的障害が認められる病態をいう。 ただし、神経症やうつ病など他の精神障害に伴う身体症状は除外する。」

    (日本心身医学会, 1991)

    「身体疾患の中で」とあるように、心身症は身体疾患の一つです。
    「病は気から」などと言われるように、どんな病気でも、大なり小なり心身相関の病態があります。例えば、風邪でもストレスで免疫機能が低下してかかりやすくなったり、治りが悪くなったりします。その中で、より心理社会的因子が大きく関与するものを「心身症」として扱います。

    器質的疾患と機能的疾患

    • 「器質的障害」= 気管支炎などの「炎症」や、癌などの「腫瘍」のように、物理的(物質的)に異常が生じる障害です。これはレントゲンやカメラなどの検査で比較的とらえやすいといえます。
    • 「機能的障害」は、器質的な異常がなく、従ってレントゲンやカメラなどの検査でも異常が見つからず、その動きや働き<機能>が障害されているものを言います。

    例えば消化管では、癌や炎症はないけど腸の動きに異常があり、その為に腹痛や便秘・下痢などの症状が出る「過敏性腸症候群」は機能的障害の代表的なものです。

    これらのどちらにも心理・社会的因子が関与しますが、「機能的障害」は、ストレスなどに関連して状態が刻々と変化するので、その関与がわかりやすいといえます。

    ただし、心理・社会的因子と病気との関連は、単に「心が原因で病気が生じる」というような、単純で直線的なものとは限らないという点に注意する必要があります。

    心療内科では、ストレスなど心理社会的な因子と病気の状態との「関係性」に着目して、心身両面からのアプローチを行います。

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