<研究の背景>


 近年の雇用問題や複雑な社会状況に関連して、うつ病・うつ状態、心身症、ストレス関連疾患などの増加が大きな社会問題となっている。企業においてもメンタルヘルスやストレスマネージメントの重要性は日々増しており、早急な課題となっている。


 このような疾患群の背景には、現代社会において失われたもの、すなわち、動物的な営み・自然からの離脱がある。具体的には、パソコン・携帯電話・インターネットの普及などによる無機質な物に囲まれてのストレスの多い仕事、感情よりも理性を優先せざるを得ない対人関係、人間的な交流の欠如、成果主義による軋轢やプレッシャーなどである。


 そのような状況の中で、いきいきとした感情や感覚が失われ、人間が本来持っているストレス対処機能が低下して、上述の疾患に陥ってしまうと考えられる。このような感情や感覚の失われた状態を心身医学では失感情症(アレキシサイミア)、失体感症(アレキシソミア)と呼んでいる。


 メンタルヘルスにおいては従来から、心理カウンセリングなどが行われてきたが、アレキシサイミア、アレキシソミアの状態を改善するためには不十分で、感情を言語化できないためにカウンセリングが奏功しないことも多い。


 そのような状態に対して、身体的なリラクセーションを得ることから入って、身体感覚や感情の気づきを高め、本来のバランスを取り戻すのがボディワークである。ボディワークは、人間が本来持っている自然治癒力や、ストレス対処能力を引き出す上で有用なアプローチであり、今後メンタルヘルスにおける重要性が高まってくると思われる。


 ボディワークにはさまざまな要素が含まれており、それを分解して解析することは困難であり、そのような方法で全てを捉えられるものでもない。その限界を踏まえた上で、本研究ではボディワークの持つ効果を身体感覚と感情の気づきという観点から、精神生理学的、心理的側面から量的及び質的に検討する。そして、アレキシサイミアやアレキシソミアの状態に対して、ボディワークがどのような作用をもたらし、上述のような本来のバランスの回復につながっていくのかを考察する。

 

<研究の概要>
・健常人及び心身症患者における、ボディワークの身体的、生理的、心理的効果を検討する。
・ボディワークにおける身体感覚及び感情の気づきへのプロセスを明らかにする。
・ボディワークにおけるセラピストとクライエントの相互作用について検討する。
・ボディワークのアレキシサイミア・アレキシソミアへの影響を検討・考察する。

 

 

リラクセーションスペース 蓮
Relaxation Space REN

E-mail: mind@body-thinking.com

http://bodythinking.net/
所長 神原 憲治(心療内科医・医学博士)
〒534-0025 大阪市都島区片町2-7-57 シャンピア片町701号


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