2008年9月アーカイブ

5. 1 心身症と関連する代表的な疾患
機能性ディスペプシア、胃・十二指腸潰瘍、胃食道逆流症、過敏性腸症候群、非心臓性胸痛、動揺性高血圧、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、甲状腺機能亢進症・低下症
緊張型頭痛、片頭痛、痙性斜頚、書痙、めまい症、慢性疼痛症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症、パニック障害、摂食障害
5. 2  消化器心身症
 機能性消化管障害(Functional gastrointestinal disorders; FGID)
 RomeⅢ(世界的に認められている診断基準)による機能性消化管障害の一覧(B,C以外の下位分類は省略)
5. 3 過敏性腸症候群
〈概念〉
 器質的異常は認めないが、腹部症状,便通異常の二大徴候を呈する小腸,大腸の運動および分泌機能異常に基づく症候群である.
〈病因〉
  (1)体質素因
   (2)心理的ストレス,不安,抑うつなどにより誘発される場合もある。
〈疫学〉
 症状を呈していても医療機関に治療を求めない人も多く,健常人の約10%前後がそうであるという報告が多い.
5. 4 機能性身体症候群(Functional somatic syndrome; FSS)
〈定義〉
「身体症状の訴え、苦痛、障害の程度が個々の疾患に特異的な構造や機能によって説明できる障害の程度に比べて大きいという特徴を持つ一連の疾患群」
 通常の検査結果では診断がつかないが、患者の訴えは強く乖離がある。
コア疾患としてあげられているのが、過敏性腸症候群、機能性胃腸症、線維筋痛症、慢性疲労症候群の4つである。
1)機能性胃腸症(Functional dyspepsia; FD)
食後膨満感、心窩部痛、心窩部灼熱感などの上腹部症状が持続し、器質的異常が認められないもの。
2)線維筋痛症(Fybromyalgia syndrome; FMS)
 3ヶ月以上続く広範囲の疼痛があり、全身18ヶ所の圧痛点のうち11ヶ所以上に圧痛が認められるもの。(米国リウマチ学会:1990年)
3)慢性疲労症候群(Chronic fatigue syndrome; CFS)
著しい疲労感が6か月以上持続し,通常の診察や諸検査では異常が見つからず,随伴症状として,運動後の疲労回復の困難,集中力障害や短期記憶障害などの認知障害,不眠/過眠,頭痛,多関節痛,筋肉痛,咽頭痛,リンパ節腫脹,うつ状態,不安・緊張,乾燥症状,レイノー現象,過敏性腸症候群,めまい感,アトピーなどの多彩な不定の愁訴を示すもの。

4.1 心身症の定義
身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的、ないし機能的障害が認められる病態をいい、ストレスなど心理社会的因子は多かれ少なかれ、病気に関与しているものであるが、その割合が大きく、その面を考慮したほうが適切に治療できる場合に「心身症」として扱う。表記法は「○○(心身症)」(Ex.「顎関節症(心身症)」)とする。
4. 2 心身症について
器質的障害と機能的障害
・器質的障害: 胃炎や気管支炎などの「炎症」や癌をはじめとする「腫瘍」など、物理的(物質的)に異常が生じる障害のこと。レントゲンやカメラなどの検査でとらえられることが多い。
・機能的障害: 器質的な異常がなく、従ってレントゲンやカメラなどの検査をしても異常が見つからないけど、その動きや働き(機能)が障害されているもの。
 例)機能性消化管障害、過敏性腸症候群"など。
・心身医学的アプローチを必要とする患者群は特別な存在ではなく、実地医療の現場ではありふれた存在である。
4.3 心身症の病態
身体面:末梢の器質的・機能的病態、自律神経系・内分泌系など
心理・行動面:心理、社会、環境因子、不安・抑うつなど
認知面:症状の閾値、症状をどう捉えているか、など
→これらの関係性の評価を重要とする。

3. 5 ストレスとは(1)
 ストレスとは「外からの刺激によって生じるからだの変化」、例えるならゴムボールに力が加えられてへこんだ状態。
通常は、「ストレスでボールがへこむ」→すぐにへこんだ部分の修復
しかし、"へこみ"が大きくなると修復が困難になり、身体に影響が現れてくる。
 ウォルター・B・キャノン (1871-1945、米)
○闘争-逃走反応(緊急反応)
 全力で立ち向かうか、全力で逃げるか 
  生理面:副腎髄質からアドレナリンの分泌  
  感情面:怒り、恐怖
ハンス・セリエ Hans Selye (1907-1982、ウィーン生)
○一般適応症候群(非特異的反応)
 1)警告反応期、ショック相、反ショック相
 2)抵抗期:適応が獲得され、抵抗力は正常値を相当に上回って上昇する
 3)疲憊(ひはい)期
○外的刺激⇒セリエの三徴候
 副腎皮質の肥大、胸腺の萎縮、胃・十二指腸潰瘍
○防衛と適応
 セリエは防衛よりも適応とみた
3. 6 心理社会的ストレス
○ライフ・イベント型ストレス
 1960前後 ホームズHolmes&レイRahe 「社会的再適応尺度」
 人生に変化を起こさせるような人生の出来事の震度を疫学研究の定量的基礎として計量することを試みたもの。
○日常生活ストレス (リチャード・S・ラザルス Lazarus)
・生活上の大事件(major life event)よりも日常苛立ち事(daily hassles)の方が健康状態により影響しやすい。 ⇒一次的な認知評価
・対処行動(stress coping)⇒二次的な認知評価
 認知的に評価された日常ストレスに対しどう考えるか、どう感じるか
3. 7 ストレス対処行動の違い
 ある研究によると、
  健常人はストレスに様々なタイプの対処行動をまんべんなくとることができる。しかし、心身症患者は、ストレスを感じる頻度も少なく、強度も弱いと感じており、ストレスに対して、思考・情動・身体を乖離することで対処している。そこで、心身医学的アプローチ⇒"乖離しなくても対処できる"ことを提供していく。

 

3. 3 アレキシサイミア(失感情症)
 アレキシサイミア(失感情症)"心の声が聞こえない。"(Sifneos、1973)
〈特徴〉
 ・自分の感情や身体の感覚に気づくことが難しい。
 ・感情を表現することが難しい。
 ・自分の内面へ目を向けることが苦手である。
〈要因〉
 ・発達早期の母子相互の感情的な交流が障害。
 ・日本の文化として感情の表現をあまりよしとしないという風潮の影響。      
 ・知性、情動、身体の乖離(精神機能を行う大脳新皮質と情動回路にあたる旧 脳との機能乖離が原因。
  ex...慢性疼痛 母親に否定され続けたことにより感情を抑えることが常態化し痛みとなって出現。
 〈生物学的機序〉
  (1)脳幹部や大脳辺縁系と大脳皮質の特に言語中枢領域との伝達機能障害が関係している
  (2)左右大脳半球の機能の解離がある
  (3)右大脳半球で何らかの機能障害がある
3. 4 アレキシソミア(失体感症)
"体の声が聞こえない"
・池見らは「アレキシサイミアのケースでは感情だけでなく、身体感覚の気づきも低下していることが多い」と述べ、その状態をアレキシソミア(Alexisomia)と呼んだ。
・感情の気づきの低下した状態では、情動の抑圧や前述の伝達機能障害などに伴って、抑圧された感情が身体症状化しやすくなる
身体感覚のゆがみ...感情の気づきの低下した状態では、情動の

3.1情動と感情
脳機能の3つの統合系 ①新皮質系:上手に生きていくことを考える。(意識される)
           ②大脳辺縁系;本能で行動する。(はっきりと意識されない)
           ③脳幹脊髄系:生命の維持をする。
 大脳辺縁系は、内分泌系(ホルモンなど)と自律神経系の中枢で、身体にとってちょうどよい方向に調節をしてくれる働きをしている。
○情動と感情とは・・・
 情動:はっきり意識されない、原始的な感情
     快ー不快 
 感情;意識的な精神機能の一部→情動の土台の上で行われる
    不安、恐怖、喜怒哀楽
 情動は大脳辺縁系が関与し、乱れると自律神経・内分泌の中枢に影響を及ぼす。
   こころ(情動、感情)が乱れると身体の働きも乱れる→心身
3.2 アレキシサイミア(失感情症)
  感情、情動、身体の乖離した状態。
  大脳皮質(知性、思考、認知)と大脳辺縁系(情動)の間の情報の行き来がうまくいかない状態と考えられている。
〈特徴〉
 ・自分の感情や情動、身体感覚に気づくことが難しい。
 ・感情を表現することが難しい
 ・自己の内面に目をむけることが苦手である。
感情の気づきが低下した状態では、感情を抑圧しやすくなりその抑圧された感情が身体症状として現れる→心身症の病態の1つ
アレキシサイミアのケースの中には、感情だけでなく、身体感覚への気づきも低下していることも多く、それらをアレキシソミア(失体感症)と呼ぶ(池見ら)。 

2. 1 心身相関(こころとからだの関係)
・心と身体は切っても切り離せない。
・心理的な変化と身体的変化
 ⇒一つの同じ過程を二つの側面より見たにすぎない
2. 2 心身医学の身体的基礎
○自律神経系
 心身症の発症のメカニズムは未だ解明されていない部分も多いが、持続するストレスが脳を介して、自律神経系、内分泌系、免疫系といった生体機能調節に影響を与え、それがある程度以上続くと身体の働きや構造に異常をきたすと考えられる。また症状がどの部位に生じるかは、もともと弱いところに出たり、ストレスの種類や性格傾向、ストレスへの対処の仕方によって決まってくる。
 自律神経は脳と身体とを結んで、脳からの指令を身体に伝える役割を果たしている。眠っている間も心臓を動かしたり、食事をしたら消化のために胃腸を動かすなど本人が無意識のうちに行っている。また心身症には自律神経系が密接に関与しており、不随意である自律神経系は、消化、呼吸、発汗及び代謝などの機能を制御する。
 自律神経系は身体を緊張、攻撃に向かわせる交感神経と内臓の働きを高めたり身体を休ませる方向に向かわせる副交感神経の二つから成り、この二つは拮抗的に働く。ストレスによって交感神経優位の状態が持続することになると、自律神経のバランスが崩れ、各器官のコントロールが上手くいかなくなり、あらゆる器官にさまざまな不定愁訴が表れてくる。

 身体的な面ばかりに目を向けるのではなくこころの面からもアプローチしていくことで自律神経系のバランスや働きも正常に戻り、それによって身体症状も治まると考えられる。

1. 1 こころとからだ
 こころと身体は切っても切り離せないもの。
 日本には昔から「身(み):こころや身体という概念を超えた統合体」という概念がある。身体にも"身"という字が入っているように、身体は心と表裏一体、「心身一如」であるといえるだろう。
1. 2 心身医学とは
「患者を身体面とともに心理面、社会面(生活環境面)をも含めて、総合的、統合的にみていこうとする医学」。  *対象は主に心身症
1. 3 心身症
「心身症とは、身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する。
1. 4 代表的な疾患名
1. 5 医療モデルの変化 (1)
 病態は時間がたつほど次第に複雑化していく。早期治療、早期発見されず症状を抱えていくと、それが慢性化となり慢性疾患、生活習慣病へとつながり、また検査では異常が見つからないが、症状を訴えるような機能性疾患もある。これらの病態は、従来の医療モデルでは太刀打ちできず、症状を抱える自分自身と適切な治療が受けられない現状との乖離に悩まされる。
長期に症状を抱えると器質的な状態以外に心理社会的側面も大きく関与し、症状改善に身体面のみのアプローチでは困難となる。患者―医師の治療関係も「してもらう治療」→「自分の力で変化する治療」へと治療モデルの変化していくことが望ましい。

 

 

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